Stray Kidsは2026年8月7日、10枚目のミニアルバム『THIS & THAT』をリリースしました。同名のタイトル曲「This & That」を含む全8曲で、ジャンルを横断する作品として注目を集めています。
今回のカムバックで目を引くのは、音源だけで完結していない点です。ソウルでの5公演を終えたあとにアルバムが出て、その後は東京の国立競技場での公演が控える、というように、ライブと新作が互いに絡み合う形で動いていました。
この記事では、まず作品とリリース状況を確認できた事実として整理し、そのうえで「なぜこの構成なのか」「ファンの購買や参加にどう結びつくのか」を、編集者の分析として考えます。事実と分析は、読み分けられるよう区別して書いています。
初めての方へ|Stray Kidsとは
Stray Kidsは、JYPエンターテインメント所属のグループです。グループ名には、自分たちの道を自ら探して進んでいく、という意味が込められていると紹介されています。ファンダム名は「STAY」です。
特徴としてよく語られるのが、グループ内のプロデュースチーム「3RACHA」の存在です。バンチャン、チャンビン、ハンの3人が、デビュー以来のアルバム制作に参加してきたと伝えられています。自分たちの音楽を自分たちで作る姿勢が、グループの個性として受け止められてきました。
海外での活動も活発で、報道によれば、前年のワールドツアー「dominATE」は35地域・56公演の規模で行われました。今回の『THIS & THAT』は、その流れを受けた新作という位置づけになります。この記事では、グループの過去の経歴には深入りせず、2026年8月の動きに絞って整理します。
『THIS & THAT』の基本情報|全8曲とリミックス展開
最初に、公式発表や報道で確認できる内容を整理します。この章では分析を挟まず、作品の概要を中心に並べます。
作品の概要とリリース日
『THIS & THAT』は、2026年8月7日午後1時(韓国時間)にリリースされた、JYPエンターテインメント所属のStray Kidsの10枚目のミニアルバムです。全8曲を収録し、タイトル曲は同名の「This & That」です。
タイトル曲は、グループ特有のチルでクールなムードを打ち出したヒップホップベースの楽曲と紹介されています。グルーヴのあるトラックに、気だるさと中毒性をあわせ持つメロディが乗り、自由に選択肢を行き来するような歌詞のなかに、望むことは何でも自信を持ってやり遂げる、という姿勢が込められていると報じられています。
作詞・作曲には、グループ内のプロデュースチーム3RACHA(バンチャン、チャンビン、ハン)が参加しました。3RACHAは、デビュー以来のすべてのアルバム制作に関わってきたと伝えられています。
全8曲の顔ぶれ
報道によると、収録曲は次のように紹介されています。ジャンルの説明は、各媒体が伝えた内容に沿っています。
- 「This & That」:タイトル曲。ヒップホップベースでチルかつクールなムード
- 「RUN IT」:壮大なブラスとワールドビートが調和した曲(先行公開)
- 「After You」:ひと目で恋に落ちる瞬間を描いたプログレッシブハウス
- 「FARMING」:ゲーム内の「ファーミング」の概念をウィットに表現した曲
- 「I Do」:軽快なエネルギーとキャッチーなフックが際立つロック
- 「Way Out」:淡々とした別れの感情を込めたアコースティックヒップホップ
- 「Back Then」:晩夏の思い出を思い起こさせるバンドサウンド
- 「This & That(Festival Version)」:タイトル曲を、みんなで跳ねる祭りの雰囲気に仕上げた別バージョン
約9か月ぶりの韓国カムバックという間隔
今回のアルバムは、韓国での新作としては約9か月ぶりと紹介されています。海外ツアーを含む活動が続くなかで、あまり間を空けずに新作を届けたことになります。
ライブが活動の中心にあるグループにとって、新作は「公演で披露する新しい曲を増やす」意味合いも持ちます。新作の間隔が、ツアーのセットリストを更新するリズムとも関わっていると読むこともできます。この点は推測であり、事務所が説明した内容ではありません。
リミックスで広がった「This / That」
アルバムのリリース後、タイトル曲のリミックスも続きました。8月10日には「This & That(This Remixes)」が配信され、原曲やインストゥルメンタルに加えて「This Version」「Chill Version」が収録されました。8月12日には「This & That(That Remixes)」が続き、「That Version」「Cool Version」が収められました。
「Chill」と「Cool」の2つのバージョンは、8月8日にiTunesで先行公開されたと伝えられています。1曲を複数の角度で提示する展開は、今回の作品のひとつの特徴です。
タイトルが示す「選択肢」の設計|THIS & THATを読み解く
ここからは分析です。公式の説明や報道から読み取れる範囲での見方であり、メンバーの意図を断定するものではありません。
「どちらでもいい」という自信の見せ方
「THIS(これ)」と「THAT(あれ)」という対になる言葉は、一方を選び取る強さではなく、どれを選んでも自分たちらしくできるという余裕を連想させます。タイトル曲の歌詞が、選択肢を自由に行き来しながら自信を示す内容と紹介されていることとも響き合います。
多くのK-POPのタイトル曲は、力強い宣言や強い感情を前面に出します。今回の「チルでクール」という方向は、同じ自信を、力まない形で見せる試みとして読むことができます。
ただし、曲の聴こえ方は人によって違います。ここで示すのは、ひとつの読み方です。
バージョン名にも貫かれた「This / That」
リミックスのバージョン名が「This」「That」「Chill」「Cool」と、タイトルや曲調の言葉をそのまま使っている点も見逃せません。アルバム名、曲の雰囲気、別バージョンの呼び名が一本の言葉遊びでつながっていると読めます。
また、日本の販売店の商品情報には、「THIS VER.」と「THAT VER.」のカバーがランダムで届く仕様も見られます。選ぶ楽しさに、どちらが届くかという偶然の要素が重なる形です。これは販売形態の一例であり、すべての商品に当てはまるわけではありません。
「FARMING」と「Back Then」が持つ遊びと感傷
収録曲のなかでも、「FARMING」と「Back Then」は、作品の振れ幅を示す2曲に見えます。「FARMING」は、ゲームの用語を比喩に使う遊び心のある曲として紹介され、「Back Then」は、晩夏の記憶を思わせるバンドサウンドの曲と説明されています。
ゲームの用語と季節の感傷は、一見すると遠い題材です。軽さと切なさを同じアルバムに並べることで、「THIS & THAT」というタイトルの二面性を、曲の側からも表現していると考えられます。
ジャンル横断は「散らかり」か「統一感」か
『THIS & THAT』には、ヒップホップ、ワールドビート、プログレッシブハウス、ロック、アコースティックヒップホップ、バンドサウンドと、多様な音楽性が並んでいます。この幅広さをどう受け止めるかを考えます。
ブラスとワールドビート、ダンスの熱量
「RUN IT」は、ブラスとワールドビートのリズムを組み合わせた曲と紹介されています。生の管楽器のような響きと、地域色のあるリズムの組み合わせは、ライブ会場で観客が身体を動かしやすい音の方向性と言えます。
プログレッシブハウスの「After You」とあわせて見ると、ダンスの熱量を高める曲と、感情の機微を描く曲が、アルバムの前半から中盤にかけて混在していることがわかります。
ロックとアコースティックが生む緩急
「I Do」のロックは、軽快で、フックが印象的な曲として紹介されています。続く「Way Out」は、別れの感情を淡々と描くアコースティックヒップホップです。同じアルバムのなかで、エネルギーを放つ曲と、温度を下げる曲が交互に現れます。
8曲という限られた長さで、これだけ異なる質感を並べると、アルバム全体は聴き手に緩急を感じさせやすくなります。散らかった印象になるか、変化に富んだ印象になるかは、聴く人の好みによるところが大きいでしょう。
3RACHAの制作参加がつなぐ一貫性
ジャンルが広がっても、作品の軸を保つ要素として注目できるのが、3RACHAの存在です。タイトル曲の作詞・作曲にメンバーで構成された制作チームが関わっていることは、音楽性の多様さのなかにも、グループの視点が通っていると感じさせる根拠になります。
ただし、アルバム全体のクレジットの詳細は、本記事では確認できていません。収録曲ごとの制作参加は、公式のクレジット情報で確認することをおすすめします。
聴きどころ|曲ごとの視点を整理する3つの軸
多様な曲が並ぶアルバムは、聴く軸を決めておくと楽しみやすくなります。ここでは、収録曲の紹介内容をもとに、3つの軸を提案します。いずれも編集者の整理で、正解を示すものではありません。
音の質感の切り替わりを追う
チルなヒップホップ、ブラスとワールドビート、ハウス、ロック、アコースティック、バンドサウンドと、曲ごとに主役の楽器やリズムが変わります。1曲ごとに「何が前に出ているか」を意識すると、アルバムの幅がつかみやすくなります。
歌詞の視点の違いを見る
自信を見せるタイトル曲、ひと目で恋に落ちる瞬間、別れの淡々とした感情、晩夏の記憶と、描かれる場面は大きく異なります。同じ8人の声で、視点の違う場面を歌い分けていると捉えると、アルバムが短編集のように見えてくるかもしれません。
ライブでの映え方を想像する
ブラスが響く曲、観客と一緒に跳ねる「Festival Version」、静かに聴かせる曲と、公演のなかでの役割を想像して聴くのもひとつの楽しみ方です。ツアーが進むと、曲の印象が変わることもあります。実際のライブ映像やレポートと照らし合わせると、発見が増えるはずです。
ライブと作品が連動するリリース設計
今回のカムバックを読み解くうえで、もうひとつ重要なのが、ライブとの関係です。時系列を確認したうえで、その意味を考えます。
ツアーが先に始まったという順序
報道によると、Stray Kidsは、新しいワールドツアー「RUN IT」を、ソウルのKSPO DOMEでの全5公演で開幕させました。日程は7月25日・26日・29日、8月1日・2日で、全日程が完売と伝えられています。最終日の8月2日から5日後の8月7日に、アルバムが発売されました。
ツアーの名前が、収録曲「RUN IT」と同じである点にも目が向きます。曲とツアーが同じ言葉を共有していることで、音源を聴くことと公演に参加することが、ひとつの体験として結びつきやすくなると読むことができます。
これは編集者の見立てです。ツアー名と曲名の関係について、公式がどのような意図を説明しているかは、確認できていません。
東京・国立競技場の2公演
所属事務所の発表によると、Stray Kidsは8月29日と30日に、東京の国立競技場(MUFGスタジアム)で単独公演を行います。事務所は、海外の男性アーティストとしては初めての単独公演だと説明していると報じられています。
また、この2日目の公演は、全国の映画館に生中継されると発表されています。現地に足を運べないファンにも、公演を体験する選択肢が用意されている形です。
前回ツアー「dominATE」からの連続性
前年の「dominATE」が35地域・56公演の規模だったことを踏まえると、今回の「RUN IT」は、より広い会場と、より多様な参加の入り口を整えた展開に見えます。ソウルでのドーム公演、東京の国立競技場、南米を含むフェスティバルと、会場の種類が広がっているためです。
会場の規模が大きくなると、観客一人ひとりにとっての「近さ」が課題になります。映画館での生中継や会場限定のイベントは、その距離を補う試みとして位置づけられるのかもしれません。もちろん、これは外から見た読み取りで、運営側の狙いを確認したものではありません。
フェスティバル「STRAYCITY」という広がり
報道では、ライブ・ネーションとJYPエンターテインメントが、Stray Kidsを中心に企画したフェスティバル「STRAYCITY」も紹介されています。9月9日(現地時間)にコロンビアのボゴタで初開催され、アルゼンチンのブエノスアイレス、メキシコのメキシコシティなどで順次開催されるとされています。
こうした展開を見ると、音源とツアーの二本柱に加えて、フェスという第三の場で、グループの世界観を広げようとする動きがうかがえます。ただ、今後の詳細は、公式の発表を確認する必要があります。
数字から見るファンの購買・参加行動
次に、報じられている数字を整理します。数字は「何を、いつ、どの集計で測ったか」が重要なので、基準もあわせて書きます。
発売直後の主な成績
- 韓国のアルバム販売量集計サイトHANTEOチャートでは、リリース5日間の累計販売量が284万4550枚(8月12日時点の報道)
- Spotifyの新作デビューを集計するチャートで、タイトル曲が「トップ・ソング・デビュー・グローバル」1位、アルバムが同アルバム部門2位(8月7〜9日の集計)
- ワールドワイドおよびヨーロピアンのiTunesアルバムデイリーチャートで、8月7日から10日まで4日連続の首位
- タイトル曲のミュージックビデオは、公開から約3日でYouTubeの再生回数が5000万回を超えたと報道
これらは主に報道に基づく数字で、集計元や期間が異なります。数字を単純に足し合わせたり、他のアーティストと直接比較したりするのは避けたほうが安全です。
ビルボード200で9作連続の1位
米国のアルバムチャート「ビルボード200」では、2026年8月22日付で『THIS & THAT』が初登場1位を獲得し、通算9作連続の1位になったと、国内の販売店サイトなどで紹介されています。報道では、前作での8作連続1位が、同チャートの歴史で初めてだったとも伝えられていました。
ここで注意したいのは、「連続1位」という記録が、販売数だけでなく、ストリーミングなどを含む独自の計算で決まる点です。記録そのものと、販売の勢いは、別の物差しとして見たほうが正確です。
記者懇談会で語られた姿勢
カムバックにあたって行われた記者懇談会では、メンバーが、記録や成果を目標にするより、心を込めた音楽をSTAYに届けることを最も大切にしていると話したと伝えられています。そのうえで、気持ちがファンに届き、それにふさわしい結果がついてくれば、この上ない喜びだとも語ったとされています。
この発言を踏まえると、前の章で見た数字は、「目標として追った結果」というより、「作品が届いたことの結果として語られているもの」として受け取るのが自然です。メンバーが数字をどう受け止めているかについては、本人の発言以上のことは言えません。
数字の読み方と限界
強い販売数は、ファンが作品を複数形態で購入したり、公演や特典と組み合わせたりする行動が背景にあると考えられます。作品を聴くこと、集めること、公演で確かめることが結びついたとき、購買は「応援の表現」にもなります。
ただし、この見立てを裏づける購買データは、本記事では確認していません。数字はあくまで公開された報道の範囲で読み、個々のファンの動機を決めつけないようにします。
日本のSTAYにとっての『THIS & THAT』
日本のファン(ファンダム名はSTAY)にとって、今回の動きはどのように関わってくるのでしょうか。確認できた情報から整理します。
日本で用意された接点
国立競技場の公演に加え、報道では、大阪の京セラドーム大阪を含む会場限定のイベントや、販売店でのイベントが案内されています。また、鉄道会社とのコラボレーション企画など、日本向けの企画も発表されています。
公演や特典、企画の詳細は日程や条件が変わることがあります。参加を考える場合は、公式サイトや公式SNSで最新の情報を確認してください。
国立競技場公演とライブ中継を確認するときの注意
確認できている範囲では、国立競技場での単独公演は8月29日と30日の2日間で、映画館での生中継は2日目の公演が対象とされています。1日目と2日目で扱いが異なる点は、読み違えやすいところです。
中継の実施館、料金、販売方法は、告知ごとに条件が違う場合があります。申し込み前に、必ず公式の案内ページで最新の条件を確認してください。遠方に住むファンにとっては、現地参加が難しくても、こうした中継が公演との接点になります。
また、会場限定のイベントは、チケットの条件や参加方法が通常の公演と異なることがあります。「会場限定」という表記があっても、誰でも参加できるとは限りません。細かな条件は、告知文の注意書きまで読んでおくと安心です。
初めて聴く人へのおすすめの入り口
これから『THIS & THAT』を聴く場合は、まずタイトル曲「This & That」でチルでクールな空気感をつかみ、その後に「RUN IT」でダンスの熱量、「Back Then」で季節感のある感傷、と順に聴くと、アルバムの幅が見えやすくなります。これは、収録曲の紹介内容に基づく編集者の提案であり、聴き方に正解はありません。
まとめ|ライブと作品を行き来しながら広がるカムバック
2026年8月のStray Kidsのカムバックを、事実と見立てに分けて振り返ります。
事実として押さえたいこと
8月7日に全8曲のミニアルバム『THIS & THAT』が発売され、3RACHAがタイトル曲の作詞・作曲に参加しました。ソウルでの全5公演で幕を開けたツアー「RUN IT」は、国立競技場公演へと続きます。リリース直後の複数のチャートで好成績が報じられ、ビルボード200では9作連続の1位とされています。
編集者の見立て
「THIS & THAT」という言葉は、タイトル、リミックスの名前、曲調、販売形態にまで行き渡り、作品全体を貫くキーワードになっています。ジャンルの幅広さは、3RACHAの制作参加という軸に支えられ、ライブとの連動によって、音源とステージの両方で体験できる形に整えられていました。
この見立ては、公開情報から読み取れる範囲のものです。ツアーが進むなかで、作品の聴こえ方が変わる可能性もあります。
今後は、国立競技場公演でのセットリストや演出、そして日本での関連企画が、アルバムの印象をどう広げていくかが注目点です。公演後の公式レポートや映像が公開された段階で、あらためて作品との結びつきを確認できると、読み解きの精度も高まります。
『THIS & THAT』のなかで、あなたがまず繰り返し聴きたくなる曲はどれでしょうか。軽さを味わう曲か、切なさに浸る曲か。選ぶ曲によって、作品の見え方もきっと変わってきます。


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